カタログの馬力を見て、大きい方が速い、となりがちだ。その数字の裏にあるのが、エンジンの呼吸だ。自然吸気、いわゆるNAは、大気圧で空気を吸う。ターボは、排気でタービンを回し、空気を押し込んで燃やす量を増やす。
過給の利点は、小さな排気量でも大きな力を出せること。燃費規制と出力を両立させるために、今の多くの車がターボを抱えている。欠点というより特性は、タービンが回り始めるまでの間、いわゆるラグと、熱の管理だ。最近はラグが目立たないものも増えた。
ターボは魔法のパワーではない。排気の力で、吸気を増やしている。
NAの魅力は、アクセルと出力の距離が近いことにある。回すほどに伸びる感覚。スポーツカーや、一部の高級車が自然吸気にこだわる理由は、数字のピークより、応答の質にあることが多い。
ハイブリッドや電動過給も、同じ「空気と燃料をどう増やすか」の延長にある。技術名に惑わされず、アクセルを踏んだ瞬間に何が起きているかを想像できると、試乗の感想が具体になる。
車好きの会話でターボかNAかを聞くのは、マニアの呪文ではない。その車が、力をどう作っているかを聞いている。呼吸の仕方を一つ知っていると、カタログは小説になる。
