ベンツ、BMW、アウディ。ドイツの高級車をまとめて御三家と呼ぶのは便利だ。ただし便利な言葉ほど、中身を見えなくする。三つは同じ国の、別の答えである。
メルセデス・ベンツは、長く「乗る人を守る、運ぶ」側のブランドとして読まれてきた。快適さ、格式、安全のイメージ。BMWは、運転している自分が主役になりやすい。後輪駆動の歴史、キドニーグリル、走る喜びという言葉が、今もブランドの核にある。
御三家を並べるときは、値段ではなく、何を大事にしているかを並べる。
アウディは、クワトロという四輪駆動と、内装の作り込み、先進の見せ方で位置を築いた。デザインの面の処理、ライトの署名。乗ってすぐ「ドイツ車」と一括りにできない差が、インテリアに出る。
どれが上かという話は、あまり生産的ではない。会食の送り迎え、長い移動、自分で走りたい週末。用途と、自分が何を褒めたいかで、答えは変わる。同じCセグメントでも、シートの感覚も、ステアリングの太さも違う。
街で見かけたら、エンブレムの前に、三つの哲学のどれが走っているかを見る。車の教養は、車種名の暗記より、ブランドが何を捨てて何を残したかを言えることに近い。
