電気自動車の話は、すぐに航続距離の数字になる。カタログのキロメートルは、条件が揃ったときの上限に近い。冬、高速、エアコン。実走行は、だいたい短くなる。だから数字の大小だけで選ぶと、期待の置き方を誤る。

本題は、生活の動線だ。自宅に充電できるか。通勤が片道何キロか。長距離を月に何回走るか。毎日同じルートなら、航続の不安は小さい。年に数回だけ長距離なら、そのとき充電計画を立てられるかが問われる。

EVの本題は、馬力ではない。どこで充電して、何キロの不安を持つかだ。

充電は、給油の言い換えではない。時間の単位が違う。普通充電は、停めておく習慣。急速は、移動の途中の補給。電池の劣化や、残量を何パーセント以下にしたくないか。新しいメンテナンス項目が、オイルの代わりに来る。

静かさ、トルクの出方、維持費。EVには、エンジン車と別の快感もある。逆に、音と振動を愛する人には、物足りなさにもなる。好き嫌いは、環境の話と分けて言ってよい。

車を選ぶ地図に、駆動方式やブランドと並べて、エネルギーの種類を置く。EVは未来の記号ではなく、使い方の設計だ。航続の数字は、その設計の一部にすぎない。