試乗で「硬い」「ふわふわ」と感じるとき、人はシートやエンジンを先に責める。実際に路面と交渉しているのは、サスペンションだ。ばねが衝撃を受け、ダンパーがその動きを収める。タイヤも、最初のばねである。
スポーツ車が硬く感じるのは、ロールを抑えてタイヤを路面に付けておくためだ。高級セダンが柔らかく感じるのは、小さな凹凸を室内に入れないためだ。どちらが上ではなく、何を優先したかの差である。
良い乗り心地は、柔らかいだけではない。揺れの収まり方の話だ。
電子制御のダンパーや、エアサスは、その優先順位を速度やモードで切り替える。快適と、運転の気持ちよさを、一台で両取りしようとする工夫だ。魔法ではなく、時間当たりの動きを細かく制御している。
乗り心地が悪いと感じたら、空気圧とタイヤの劣化を先に疑う。足回りより安く、効きが大きい。次に、ダンパーの寿命。古い車の「年相応の揺れ」は、年ではなく部品の話であることが多い。
車の会話で足回りが出てきたら、硬さの好き嫌いだけではなく、何を守っている足かを見る。体と路面のあいだにある、いちばん正直な設計だ。
