パリのメゾンは、名前が多く、歴史が長い。入口として、ディオールとイヴ・サンローランは分かりやすい。前者は、戦後のニュールック、細いウエストと、広がるスカート。女らしさの、一つの編集。後者は、タキシードを女性に、という、ルールの外側。

同じメゾンでも、デザイナーが変わると、中身は別人になる。今のコレクションは、創業者そのものではない。それでも、アーカイブの線は、ショーのどこかに残ることがある。名前を、今季のロゴだけで見ない。

ブランド名は、ロゴではない。誰が、何の線を残したかの、家系だ。

シャネル、エルメス、日本のデザイナー。地図は、いくらでも増える。増やす前に、二人の対照を持つ。構築と、解放。雑でも、会話の軸になる。

高い理由は、職人、素材、物語、供給の絞り。全部が、毎回揃うわけではない。価格は、品質の証明ではない。系譜は、価格の代わりでもない。見方の、手がかりだ。

店頭の袋より、シルエットの記憶を残す。ディオールとサンローランは、その記憶の、最初の二つの引き出しだ。