時計の裏に、5気圧、10気圧、200mと書いてある。数字が大きいほど安心、は大枠として正しい。ただし気圧表示は、静水圧の試験であることが多い。水面を叩く水泳、ジャンプ、急な温度差は、試験の条件と違う。
日常生活の雨や手洗いに、3気圧前後。水仕事や水泳の目安に、10気圧。本格的な潜水に、それ以上とISOの区分。ダイバーズウォッチは、回転ベゼルなど、潜水のための機能が乗っている。数字だけ潜水風の時計と、実際のダイバーは別物だ。
10気圧は、10メートル潜っていい、という意味にはならない。
パッキンは消耗品だ。電池交換やオープンのあと、防水は保証し直してもらう。王冠が緩んだまま水に入れるのは、よくある失敗。蒸気の多い浴室も、想定外になりやすい。
だから「防水だから大丈夫」は、会話としても実務としても粗い。何の水に、どのくらいの時間、どの状態で、がセットになる。海に入るなら、そのための時計を選ぶ。洗面だけなら、日常防水で足りることが多い。
スペックの一行を、深さの冒険譚にしない。気圧は、試験の条件だ。その条件を知っている人の方が、時計を長く、きれいに使える。
