パテック フィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ ピゲ。いわゆる聖地の名前が並ぶと、どれが一番か、という話になりやすい。一番は、用途と好みで崩れる。歴史の長さ、複雑機構、ケースのデザイン。得意がずれる。
パテックは、代々伝える、という語りとともに、カレンダーや超複雑で語られやすい。ヴァシュロンは、長い歴史と、仕上げ、伝統的な複雑。オーデマは、ロイヤルオーク以降、ステンレスの高級という地図を書き換えた。三つとも高い。高い理由が、同じではない。
最高級を一つの名前にまとめない。頂点は、稜線だ。
この層の時計は、店頭の在庫というより、関係と待ちの話になりやすい。価格表の右端だけを見ても、実態は分からない。だから教養として持つべきなのは、値段ではなく、それぞれが何を守ってきたかだ。
ロレックスやグランドセイコーと並べると、役割が違うことも見える。工業の強さ、精度の追求、工芸の頂点。時計の世界地図は、一社のピラミッドではない。
会話で最高峰が出たら、一つの王冠を被せない。稜線の、どの峰の話をしているかを聞く。それだけで、時計の話は品よく具体になる。
