リノベーションされた中古、古民家風の住まい。都心でも、新品ではない時間を買う人が増えた。理由は、天井高、木、一戸の気配。新築の規格では出にくい、空間の個性だ。

ただし古い時間は、法規と、熱と、構造も連れてくる。耐震、断熱、再建築できるか。見た目がきれいになっていても、確認申請と、隠れた配管は別だ。デザインの好みと、住めることの証明は、分けて契約する。

古い家に住むことは、趣味ではない。時間のメンテナンスを引き受けることだ。

マンションのリノベは、専有部の話と、共用部の年齢を分けて見る。戸建ての古民家は、土地の価値と、建物の寿命を分けて見る。どちらも、安い内装の裏に、高い宿題が眠ることがある。

向いているのは、時間をかけられる人、専門家を雇える人、完璧な新品を求めていない人だ。向いていないのは、来月から無風で住みたい人だ。どちらが大人か、ではない。想像力の種類が違う。

都心の別解として、この選択は魅力的だ。別解である理由、すなわち手間を、価格の一部として数えられると、後悔は減る。古いものを買うとは、過去を買うことではなく、これから直す未来を買うことだ。