食事の席で、ハイボールが並ぶ国は、そう多くない。日本では、居酒屋から、丁寧なバーまで、炭酸で割る文化が根を張った。香りは立ち、アルコールは食事の邪魔をしにくい。暑い夜の、合理でもある。

作り方は、氷を惜しまない、炭酸を弱くしない、ウイスキーは香りが立つものを。高価でない一本が、ハイボール向きであることも多い。複雑なシングルを、食事の最初から割る必要はない。

ハイボールは、薄めた失敗作ではない。炭酸と、冷と、香りのための設計だ。

比率は、好みだ。薄すぎると水、濃すぎると食事が負ける。レモンは、付けても、付けなくても、今夜の料理次第。正解のレシピより、今の席の温度。

世界的に、ハイボールで日本のウイスキーが知られた面もある。ブームの入口として軽く見ず、文化として置いてよい。ストレートの上位でも、下位でもない。

家で一本開くとき、最初の一杯をハイボールにするのは、悪くない。香りを探して、食事を進めて、あとでストレートに戻る。日本の飲み方は、順序の上手さでもある。