ロマネ・コンティと聞いて、多くの人は価格と、入手困難という話を先に思い出す。それは事実の一部ではある。ただ、tashinamiで先に置きたいのは、住所だ。フランス、ブルゴーニュ、コート・ド・ニュイ、ヴォーヌ・ロマネ。その村にある、グラン・クリュ。
ブルゴーニュでは、畑の格が村の中に入れ子になっている。村名ワインがあり、その上にプルミエ・クリュ、さらに頂点にグラン・クリュがある。ロマネ・コンティは、その最上段の、しかもごく小さな区画だ。ボトルに村名ではなく、畑の名前が正面に出る。
ロマネ・コンティを知っている、とは、値段を知っていることではない。村の名前を言えることだ。
品種はピノ・ノワール。色は必ずしも濃くない。価値は、希少性と伝説と、長い時間かけて積み上がった評価が重なっている。だから「高い=濃い=すごい」という短絡は、ここで一番崩れやすい。
同じ村には、ラ・ターシュやリシュブールなど、隣のグラン・クリュもある。ロマネ・コンティだけを孤立したブランドにせず、ヴォーヌ・ロマネという村の地図に載せる。それが、名前を知っている状態から、位置を知っている状態への一段だ。
飲む機会は、ほとんどの人にとって稀だ。それでも、リストや記事で名前が出たときに、村を指せる。その一点が、会食でも、学習でも、効いてくる。高級ワインの入口は、値段表ではなく、地図である。
