ボトルの肩に書いてある年号。ヴィンテージは、ブドウを収穫した年だ。当たり年、外れ年という言葉は分かりやすい。ただ、世界中で同じ年が良いわけではない。ブルゴーニュの雨と、ナパの日照は、別の話である。

涼しい産地では、完熟できるかが勝負になる。暖かい産地では、熱すぎて酸が落ちないかが勝負になる。だから「2015年は世界的に良い」のような雑な文は、会話の取っ掛かり以上には使えない。土地と品種を添えて、初めて意味を持つ。

良い年は、高い年ではない。その場所の気候が、ブドウに味方した年だ。

ノン・ヴィンテージ、複数年のブレンドは、年号がないから劣る、という意味ではない。シャンパーニュの多くは、ハウスの味を守るために年を混ぜる。年号があることは、その年だけで瓶を語れる、という宣言に近い。

飲む側が最初に持つとよいのは、新しいほど良い、でも古いほど偉い、でもない、という感覚だ。若いワインには果実と力がある。熟成したものには、香りの変化がある。今夜の料理と、自分の気分で選べばいい。

リストで年号が並んでいたら、産地と一緒に見る。冷涼な年のブルゴーニュ、暑い年のボルドー。点数表を暗記するより、気候の物語として年を読む方が、会話にも、選択にも役に立つ。