日本酒のラベルで、まず目に入るのが、純米、吟醸、本醸造といった言葉だ。全部を暗記しなくていい。最初の分岐は、醸造アルコールを足しているか、米と麹と水で造っているか、に近い。

純米は、原料の骨格が米に寄る。旨味や、厚みが前に出やすいものがある。本醸造は、アルコールを適量足すことで、香りや、キレを設計する。足しているから劣る、という読みは、今は粗い。

純米は、米だけの宣言ではない。造り手の、味の設計の分岐だ。

吟醸、大吟醸は、精米や、造りの丁寧さの話が乗る。純米吟醸、純米大吟醸と重なると、言葉は増える。増えた言葉より、甘辛と、温度と、肴を先に決めた方が、今夜はうまくいく。

特定名称酒、という枠の外にも、良い酒はある。ラベルの等級は、品質の絶対順位ではない。入門の地図として使う。

店で迷ったら、純米か、吟醸の香りが欲しいかを一言。担当は、その一言で棚を折りたたんでくれる。ラベルは、試験問題ではなく、分岐の看板だ。