新潟の酒は、淡麗、キレ、という語りが強い。兵庫、とくに灘は、水と、米と、量と、歴史。どちらも、例外だらけの一般論だ。それでも、最初の二点としては優秀である。
淡麗辛口という言葉は、流行でもあった。今は、甘みや、旨味を押し出す酒も、同じ県から出る。県名で味を固定しない。県名は、水と、気候と、人の集まり、くらいに薄く置く。
日本酒は、県名で語りすぎない。ただし最初の二県は、入口として優秀だ。
兵庫は、山田錦の産地としても大きい。原料の県と、造る県が、一致しないこともある。ラベルの地名は、本社か、蔵か、米か。気になったら、そこを見る。
他の県を、この二極のあいだに置く。秋田、広島、山口、高知。個性は、県のスローガンより、蔵の一本に出る。産地の話は、入口にして、蔵の話に降りていく。
旅行先の酒を飲む、は、ワインの村飲みと同じ快楽だ。新潟と兵庫は、その旅の、最初の二つの駅名だ。
