生酒、生貯蔵、生詰。火入れ、すなわち加熱殺菌を、どの段階で省くかの違いだ。省くと、若々しい香り、細かいガス、フレッシュさが残ることが多い。その代わり、変化も早い。

要冷蔵は、店員の好みではない。酵母や、酵素の活動を抑えるための条件だ。買って、電車で長く持ち歩く、窓際に置く。それだけで、今夜の味は変わる。

生酒の美味しさは、鮮度の美味しさだ。常温の棚に置くと、別の酒になる。

火入れした酒は、安定する。貯蔵のあいだに、角が取れることもある。生が上級、火入れが劣る、ではない。流通と、飲むまでの時間に、どちらが親切か。

春の生酒、しぼりたて。季節の楽しみとして、生は強い。通年の定番は、火入れ側にいることが多い。両方ある蔵は、同じ酒で、二つの時間を出している。

家で生を開くなら、冷蔵庫と、飲む日を決める。残したら、早めに。ワインの生とは違うが、鮮度という価値は共通だ。要冷蔵の四字は、ラベルでいちばん正直な注意書きである。