日本のウイスキーは、受賞と、入手困難で語られやすい。先に置きたいのは、蒸溜所の顔だ。余市は、北海道の冷涼と、ポットスチルの直火が話題になる。山崎は、京都の山崎、水と樽の幅。秩父は、新しい世代の、小規模と熟成の実験。

同じジャパニーズでも、ピートの扱い、樽の種類、ブレンドの思想が違う。一本を日本の代表にしない。ワインのブルゴーニュとボルドーを分けないのと同じくらい、雑になる。

ジャパニーズはブームの名前ではない。蒸溜所ごとの、別の日本だ。

入手しにくいボトルを、教養の中心にしない方がいい。飲める定番、蒸溜所の見学、ハイボールで知る香り。手に入る入口から、地図は描ける。

スコットランドへの敬意と、日本の気候、樽の独自さ。歴史は百年に満たない層もある。新しいことは、浅いことではない。実験が、今の香味を作っている。

バーでジャパニーズとだけ頼むより、蒸溜所を一つ言ってみる。余市、山崎、秩父。三つ言えれば、日本のウイスキーは、もう一枚のポスターではない。