アイラなどを飲んで、煙、消毒、焚き火、と感じることがある。あれの多くは、ピートだ。泥炭を乾して燃やし、麦芽をその煙で乾す。フェノールという成分が、香味として残る。

強さは、蒸溜所の方針と、使うピートの量、樽で変わる。同じアイラでも、穏やかな一本と、煙が前面の一本がある。苦手なら、無理に島から入らなくていい。好きなら、水を足して煙の輪郭を見る。

ピートは香り付けのシロップではない。土地の燃料が、麦に移った跡だ。

スコッチ以外にも、ピートを使う蒸溜所はある。ジャパニーズにも、煙の顔を持つものがある。ピートはアイラ、は便利な入口だが、出口ではない。

食べ物で言えば、燻製に近い体験だ。チーズや、チョコレート、牡蠣と合わせる人もいる。組み合わせに正解を急がなくてよい。煙が、何を連れてくるかを自分で見る。

グラスの中の煙は、演出ではない。土地で取れた燃料の、工業的な記憶だ。そう置くと、ピートは流行の味から、産地の話に戻る。