イタリアワインを難しくしているのは、量ではなく、州ごとの顔の違いだ。ピエモンテとトスカーナでは、気候も食事も、ボトルに書いてある言葉も違う。その象徴が、バローロとブルネッロ・ディ・モンタルチーノである。
どちらもDOCG、つまりイタリアの原産地呼称でも上位の帯だ。ルールが細かく、名乗るためのハードルが高い。ただし覚えるべきなのは略号そのものより、中身のブドウである。バローロはネッビオーロ。ブルネッロはサンジョヴェーゼの地方クローンだ。
イタリアは一枚の味ではない。州ごとに、主役のブドウが入れ替わる。
ネッビオーロは色が明るく、香りが強く、タンニンが硬い。若いと厳しく、時間と大きなグラスを要求する。サンジョヴェーゼは酸があり、チェリーやハーブ、食事との相性がいい。キャンティも同じ品種の家族だ。だから「イタリアの赤」と一括りにすると、両方を見失う。
リストでDOCGを見つけたら、州名を見る。ピエモンテなら霧の多い北、トスカーナなら丘の中部。料理が北イタリア寄りか、トマトやオリーブの方向か。合わせる地図は、そこから描ける。
最初から最高峰を開けなくてもいい。同じ品種の、もう少し穏やかな村や、キャンティ・クラシコから入る。DOCGはゴールの名前ではなく、イタリアという大きな地図の、二つの頂点だ。
